3月12日夕、東京・銀座のドラッグストアで、マスクを外した女性2人が口紅を試していた。
「ちょっと冒険かなあ。どう思う?」
スーツ姿の会社員(36)は、「化粧が大好き」という。もともと自分の唇の形は好きではなく、口紅によって美しく仕上げる方法を研究してきた。
新型コロナウイルス感染症の流行で、マスクを着ける生活が3年続き、在宅勤務もあって化粧をしない日が増えていた。
だが、3月13日から屋内でもマスクの着用が個人の判断に委ねられることが決まり、化粧熱が再燃。この2カ月で口紅を3本買ったという。
「毎日違う顔で会社に行ったり、友だちに会ったりしたい。まだまだ口紅が欲しい」
「久しぶりにワクワク」
同じ店でチークを買った滋賀県の女性(63)は、「久しぶりにワクワクした」と目を輝かせた。
高齢の母と夫との3人暮らし。コロナ下での化粧は眉毛を描くだけ。「別に見る人もいない」と、マスクを着けなくなっても、ベージュに近い口紅を使うぐらいで十分だと思っていた。
だが、進学で上京した娘から「お母さんの化粧はナチュラルじゃなくて薄いだけ。もっと明るくしよう。鏡を見ると楽しいよ」と言われ、メイクの見直しを決意したという。
「いくつになっても、きれいになりたいと思うものですね」
「マスク緩和」で再燃したメイク熱。専門家によると、コロナ禍を経て、化粧への考え方は大きく変わったといいます。どう変わったのか、これからの流れはーー。
コロナ禍で、化粧は変わった。
花王ビューティリサーチ&クリエーションセンター(BRCC)が2022年4月、18歳~59歳の女性650人に聞いた調査によると、マスク生活で9割以上が化粧に変化があったと答えたという。
内訳を見ると、「目元を濃くした」が37.5%で最多。「チークを使わなくなった」「ファンデーションが薄くなった」「口元メイクをしなくなった」と続く。
メイクの目的も移り変わっている。
トレンドを追うのはもう古い?
「身だしなみである」と答え…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル